植木屋の休日、盆栽の素材屋へ|真柏の小さな素材を手に取って考えたこと
仕事で一日じゅう庭木に鋏を入れているのに、休みの日にも木を見に行ってしまう。植木屋には、そういう人間が少なくありません。
この日は、盆栽の「素材」を扱うお店に寄りました。素材とは、これから何年もかけて盆栽に仕立てていく、まだ途中の木のことです。

真柏という木
手に取ったのは、真柏(しんぱく)の小さな素材です。真柏はミヤマビャクシンの仲間で、盆栽ではとても人気のある木です。
幹がねじれるように育つこと、そして枯れた部分を白い骨のように残して見せる「ジン」「シャリ」という仕立てができることが、真柏ならではの魅力です。
写真の素材も、小さいながら幹がうねるように曲がり、鉢から立ち上がる部分に表情があります。
素材を選ぶときに見るところ
盆栽の素材を見るとき、植木屋としてつい目がいくのは、葉よりも幹と枝の骨格です。
- 幹の立ち上がりと曲がり:何年たっても変えられないのが幹です。ここに面白さがあるかどうか
- 枝の位置:残したい枝が、幹のどの高さから出ているか
- 葉の様子:写真の素材には、針のように尖った葉(「杉葉(すぎは)」と呼ばれます)が混じっていました。真柏は、強く切り詰めたり弱ったりすると、こうした杉葉が出やすくなります
葉は手入れ次第で変わりますが、幹は変わりません。だから素材選びは、幹から見ます。
庭木と盆栽は、同じことをしている
盆栽は小さな鉢の中の木、庭木は地面に植わった大きな木です。大きさはまったく違いますが、鋏を入れる前に考えていることは同じです。
どの枝を残せば、この木がこれから先もいい形でいられるか。
庭木の剪定でも、外側をそろえて刈るより先に、残す枝を決めてから不要な枝を元から抜いていきます。盆栽の素材を眺めていると、その「残す枝を決める目」を、小さな木で確かめているような気持ちになります。
鉢の上の小さな風景
鉢の土には苔が張り、細い根がのぞいていました。数十センチの鉢の上に、山の斜面に立つ一本の木のような風景をつくる。それが盆栽です。
庭も同じで、毎日目にする木の形が少し変わるだけで、景色の印象は大きく変わります。お庭の木のことで気になることがあれば、気軽にご相談ください。
庭番(niwaban)は都内全域と隣接する三県よりご依頼を承っております。